椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアの新しい認識について
椎間板ヘルニアの症状は足腰の痛みとシビレです。さらに状態が悪化すると足に脱力やマヒが起こります。「椎間板」というのは、背骨と背骨の間にあって、ちょうどバームクーヘンの真ん中に半液状のゼリーをいれたような形をしています。
椎間板ヘルニアは幾重もの繊維の輪が切れて中のゼリーが外にはみ出た状態です。そのはみ出したゼリーが腰や足にいく神経を圧迫するために、痛みやしびれが現われるとされてきました。
病院では、CTや MRIなどで診断します。治療には安静を基本として鎮痛剤、局所麻酔、牽引、コルセットの処置などがおこなわれます。3週間ほど様子をみても症状が軽快しないと手術の対象になりました。しかし、近年は手術を控える傾向にあります。
椎間板ヘルニアの手術を控える理由
- 手術数年後にヘルニアが再発する率が高い
- 半液状のゼリーが神経を押し潰すとは考えにくい
- 人間ドックでヘルニアがあっても痛みやシビレ症状の全く無い人が大勢いる
このようなことが国内外の学会で発表され、ヘルニアの神経圧迫説は半ば疑問視されているからです。
神経が伸ばされるとしびれが生じる
椎間板のゼリーがはみ出していても、全く症状がないひとがたくさんいる。これは興味深いことです。単純に半液状のゼリーだけが出るだけなら、神経の繊維管を押しつぶすことはありません。
中心性ヘルニアが原因で足がしびれている場合は、ゼリーだけでなく椎間板の中の固形繊維もたくさん出ているのです。この固体混りのはみ出し物は、神経を後方に押しのけて迂回させます。迂回させられた神経の管は伸ばされるので、管の直径は小さくなります。すると、神経は十分な情報伝達ができなくなり、感覚が混乱してしびれるのです。
これは、背骨の不安定度が大きいためにおこります。背骨の支点となる場所が二転三転するうちに、椎間板の内の繊維が攪拌されて切れ、ゼリーといっしょに出てくるのです。つまり、神経に障害を与えるヘルニアの原因は、ぎっくり腰の仙腸関節の潤滑不全よりも悪いことを示唆します。
椎間板ヘルニアは若い人がなる
ぎっくり腰の項で述べたように、椎間板は中高年になると脱水して薄くなります。ですから、はみ出るものがなければ、ヘルニアになりようがないのです。椎間板ヘルニアは水みずしい若者がなる疾患です。
椎間板ヘルニアでなくても、同じような痛みやしびれが出ることがあります。それは、次に述べる坐骨神経痛です。
椎間板ヘルニアで手術と言われたら、一度は骨盤をチェックしてみた方が得策です。手術はあくまでも最後の手段です。