構造医学の診断と治療
現代医学では、検査で情報を得るために患者の体に負担をかけることが少なくないのですが、構造医学の診断と治療は、患者の体に負担をかけないことを旨として構成されています。
重力が診断の基準
地上では重力の方向(重力線)は常に一定です。私達の体は、この重力線に順応して進化成長してきました。ですから病気や関節痛になった場合は、関連する関節の支点が、重力線からどれだけ外れてしまったかを調べなくてはなりません。関節の潤滑不全のタイプを確定して、全身の状況を把握することが、構造医学の大切な重力診断です。
構造医学の治療は二つの柱からなります。
- 術者の手により、関節の潤滑を獲得する処置
- 日常生活の指導
関節の潤滑を獲得する処置
治療の目的は潤滑不全になっている関節の潤滑を取り戻すことです。術者の手で、関節の面に圧力(方向を規定した静かな圧力)を加えて関節を良い状態に戻していきます。
骨盤の治療の構えは整体術のようですが、落としたり、ねじったり、関節を鳴らしたりといった、手荒なことは行いません。
仙腸関節が数ミリ変動してしまうと、人は歩けなくなります。歩くことができる腰痛であれば、数ミリ以下の変動といえます。わずかミリ単位の調節に、手荒なことをしては、このデリケートな関節は治りません。治療は針穴に糸を通すように、力よりも手を正しい方向に運ぶことが大切です。これは、仙腸関節の治療だけではなく、首や背骨や手足など全ての関節の治療にいえることです。これが関節の潤滑を獲得するための処置です。
日常生活の指導
医学関係の本を見ると、いろいろな病気や痛みについて書かれています。その中の「原因」という項目に注目すると、「〜と推測される」「〜と考えられている」「〜などの説がある」「真の原因は不明である」といった記載が非常に多いのです。つまり、はっきりした原因はつかめていないというわけです。それでも症状に対する薬や処置は用意されています。
重力を基準に体と失調を照らし合わせると、どんな要素が体に加わると、どこが変化するという関連が見えてきます。原因というものは、ダイオキシンとか遺伝子やウイルスなどの「物質」だけとは限りません。生活の中で何気なく反復する行為が体の重力バランスを崩す様に作用し続ければ、痛みや病気を作り上げるほどの莫大なエネルギーレベルになるのです。
日常生活の指導は、関節痛や病気をつくった誤った生活習慣(原因)に気づいてもらい、正しい体の使い方を学習することで、治癒を早め再発を防ぐためのものです。これは対症治療よりも重要な、原因治療です。
医療は治る条件やきっかけをうまく設定することだと考えています。それさえできれば、病気はおのずと治っていくものです。それは、人の体には治る生命力に加えて、病を癒してくれる地球の重力という後ろ盾があるからです。
具体的には以下の処置法などを指導していくことになります。
- 姿勢の意識
- 歩行指導
- 局所冷却法(必要に応じて)