骨粗鬆症
- 骨粗鬆症による痛みは、温めればよいのか?
- カルシウム剤やビタミンDの補充が解決策になるのか?
骨も皮膚と同じように常に生まれ変わっています。健康な骨は、骨の溶解(分解)と生産がバランス良く行われいるのですが、骨粗鬆症は「骨が過剰に熔ける」か「骨の生産が低下」して骨に穴があいてしまう病気です。
過剰な熱が骨を熔かす
骨はレンガの建物と同じつくりをしています。レンガを積み上げるだけではすぐに壊れてしまうので、レンガとレンガをセメントでつなぎ合わせて丈夫な建物をつくります。それでもセメントの接着力がなくなると、レンガが一つ二つと脱落して穴があきます。その穴が広がると、レンガの建物は倒壊してしまいます。
骨はカルシウムの結晶どうしをにかわ(コラーゲン=タンパク質+ ビタミンC)で接着しています。にかわは平熱では硬まりカルシウムを接着しますが、加熱すると液状に熔けて接着力が低下する性質があります。(煮こごり)ですから骨の周辺に慢性的な熱や炎症があると、骨のにかわが柔らかくなり、液状になるとカルシウムの結晶とともに流れ出てしまいます。その流れ出た跡が穴になり、穴が多くできて骨がもろくなった状態を、骨粗鬆症というのです。
構造医学の考え方
骨粗鬆症は背骨によくみられます。それは、骨盤の潤滑不全が原因です。「潤滑不全の骨盤に乗る背骨も潤滑不全になる」ため、関節の摩擦熱と筋肉の炎症熱が背骨の膠をジワジワ溶かし、カルシウムを流出させてしまうのです。つまり背骨の骨粗鬆症は、骨盤の潤滑を獲得する治療と、背骨の炎症熱を取る局所冷却法が重要な対応になります。
歩行が不足すると骨はできない
カルシウムを十分摂取しても、宇宙旅行をしてきた飛行士が骨粗鬆症になることは、良く知られています。それは宇宙の無重力環境では「骨を圧縮して固める刺激」が不足するからです。
鍛冶屋が丈夫な金物を作るために鉄を叩くように、丈夫な骨をつくるためには「歩行」という最適な圧縮刺激が不可欠です。完璧な栄養学でサポートしても骨圧縮が不足すると骨粗鬆症になるわけですから、骨生産の第一要素はカルシウムの摂取量ではなく、歩行の量であることがわかります。
カルシウムを550ミリグラム摂取している現代っ子よりも、420ミリグラム摂取していた20年前の子供達の方が骨は丈夫でした。現代っ子の骨が弱くなった原因はカルシウムの不足ではなく、「骨を圧縮する歩行や外で遊ぶことが不足している」と考えた方が理にかなっています。
閉経後の骨粗鬆症
閉経で、ホルモン分泌が標準値を下回り骨粗鬆症になった場合は、安易にホルモン剤で不足を補うだけでなく、その原因を考えて対処することも重要です。
性ホルモンは脳と卵巣の協調により分泌されます。その低下は卵巣を包む骨盤や、脳を支える頚椎の潤滑不全が原因になります。つまり生理痛や生理不順、腰痛や頸部痛、頭痛があった人はこの要素を持つと推定できます。心当たりの方は、骨格をチェックしてみてはいかがでしょうか。